家賃を前払いして、利益を抑える?
決算月が近づいてきてようやく見えてきた今期の利益...。
予想以上に利益幅が大きくなってしまった場合に様々な節税対策を講じると思います。
すぐに損金処理をできるものを購入するという方法が一般的ですが、「経費の前払い」という方法も最終手段として覚えておきましょう。
基本的に経費というのは、たとえ前払いをしたとしてもその会計期間に対応した部分しか損金にすることはできません。
例えば、「今年は利益が沢山出ちゃったから、事務所の家賃を3年分先払いするよ!」と言っても、それは「賃借料」などといった経費ではなく「前払費用」という資産科目になってしまいますので、何の節税にもなりません。
例えば、事務所を賃貸している3月決算法人の場合、通常家賃は前払いなので3月に支払う家賃は4月分ということになります。4月分は決算期で考えると次期の分なので3月に支払った家賃や「賃借料」ではなく「前払費用」として帳簿処理することになります。
しかし、一定の要件を満たせば来年の分の前払い分を今期の経費として処理することが可能になるのです。
ではその一定の要件とはどんなものでしょう?
①一定の契約に基づいて継続的役務提供を受けるために支出した経費であること
②支払った日から1年以内に役務提供を受けるものであること
③毎期継続して支払った時に損金処理すること
この3つの要件を満たせば、支払った時に全額を経費処理して節税することができます。
具体的に家賃を前払いするケースで考えて見てみましょう。
月額30万円の賃料で事務所を借りている3月決算法人の場合で考えてみます。
まずは要件①を満たすために家主さんとの間の賃貸契約を変更します。簡単に言うと、家賃の支払に関する項目を「年払」に変更するのです。
要件②の通り、可能なのは1年分だけですので翌期の4月分から3月分までの1年分の家賃を前払いで支払います。
今期は毎月30万円ずつで計360万円を経費処理していましたが、更に翌年分の360万円を経費として計上することが可能になりますので節税効果は大ですネ。
ただし③の要件がありますので、翌年以降は毎年翌年分だけの経費ということになりますので、節税効果が出るのは当期限りという手段になります。
しかし、決算ギリギリになって何とか税額を抑えたいという場合には有効な手段です。
このように経費の前払い処理が認められるのは、家賃、リース料、生命保険料、損害保険料、倒産防止共済掛金、中退共掛金などがあります。実際には急な契約変更が難しい場合もあるでしょうが、事務所の家賃などは比較的やりやすい方法だと思います。
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