下取り価格と値引き額を振分けて節税する
会社の経費でベンツを買う際に、今まで使っていた車を下取りに出すということはよくある話しでしょう。
そして販売店は「下取り」+「値引き」という2段構えで総額を提示してきますよね。
例えば1,300万円のベンツを購入する際を考えてみましょう。(分かりやすくするために諸費用などは車輌価格に含めて考えます)
仮に、下取り:150万円、値引き:150万円だったとします。
1,300万円(車輌価格)-150万円(下取)-150万円(値引)=1,000万円 が総支払額になります。
さて、ここで重要なのが下取り車の評価です。
「少しでも高額で下取ってくれた方がありがたい」と思うでしょうが、その下取り車の帳簿価格はいくらになっていますか?
会社の固定資産台帳を見れば帳簿価格というのがわかります。購入後、何度か減価償却をすることで帳簿上の価値は買ったときよりも少しずつ減少していきますよね。
その現在価値がとても重要です。
例えば下取り車の帳簿価格が200万円だったとします。
帳簿上200万円の価値があるものが下取り価格では150万円になってしまうのですから、50万円の損になります。会計上では「固定資産売却損」ということで差額の50万円を損失として計上します。
おわかりですね?
この固定資産売却損の額が大きくなるほど、即効性のある節税になるということです。
では実際に3月決算法人が期首の4月に1,300万円のベンツを購入(償却期間12ヶ月)した場合の節税効果を考えてみましょう。
仮にベンツを買わなかった場合の当期利益が3,000万円あったとします。
そのまま課税された場合、納税額は約10,660,000円です。
上記の通り1,300万円のベンツを下取り価格150万円(帳簿価格200万円)、値引き150万円で購入したとします。
車輌価格は150万円の値引きによって1,150万円となり、これが減価償却資産に計上されます。期末に計上できる減価償却費は4,795,500円です。また固定資産売却損50万円が損金となります。
つまり税引き前当期利益は
30,000,000万円-4,795,500円-500,000万円=24,704,500円となります。
この場合の納税額は約8,570,000円となり、約209万円の節税となりました。
次に下取りが50万円、値引きが250万円だった場合はどうなるでしょう。
車両価格は1,050万円となり、期末に計上できる減価償却費は4,378,055円です。
しかし固定資産売却損は150万円になります。この場合の税引き前当期利益は30,000,000万円-4,378,500円-1,500,000万円=24,121,500万円です。
納税額は8,340,000円です。
節税額は約232万円となり、先ほどの例よりもさらに23万円上積みされました。
現実的には200万円の帳簿価格の車輌を50万円で下取りさせるというのはムリがあるかもしれませんが、ディーラーとの交渉で、少しでも下取り価格分を値引きに振り分けてもらうことは可能でしょう。
値引き額が大きくなることで、後々計上していく減価償却費も少なくなりますのでトータルでは損得はありません。しかし、その年の節税効果を高めたい場合には有効な手段です。
※納税額の計算は簡易的なシミュレーションに基づいた金額です。その時の税制や都道府県民税率の違いによって納税額は変わります。上記の計算は節税額を保証するものではありませんのでご了承下さい。